多文化社会学解体新書 21世紀の人文・社会科学入門
¥2,750
長崎大学多文化社会学叢書 2
アブドゥルラッハマン・ギュルベヤズ、葉柳和則、森 元斎 編集
A5判/148×210mm/192頁
並製くるみ表紙/ビニールジャケット巻/2021年
AD+D+DTP:松本久木
ISBN 978-4-910067-04-9
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長崎大学多文化社会学叢書 2
本書は人文科学・社会科学の分野の初学者のための入門書として、哲学や宗教学、社会学、政治学、そしてジェンダーや言語の多様性についての緒論を紹介し、主要な問題領域を概観することによって、それらの領域を扱うために必要な諸概念の基礎に関して最初の洞察をもってもらうことを目的としている。
【内容】
森 元斎|はじめに
[導入のためのディスカッション]アブドゥルラッハマン・ギュルベヤズ|自然科学、社会科学、人文科学、そして概念を用いる仕事
第Ⅰ部:人間 その自己についての知覚、外的実在についての知覚
[第1章]森 元斎|自然と人間の関係について
[第2章]滝澤克彦|宗教とコスモロジー
[第3章]葉柳和則|知識
[第4章]葉柳和則|自己と他者
第Ⅱ部:社会 その概念化と歴史
[第5章]森川裕二|アナーキーな国際秩序と共生の世界
[第6章]寺田 晋|多文化主義とその論点
[第7章]森 啓輔|植民地統治性の歴史分析のために
第Ⅲ部:社会的多様性の諸相
[第8章]佐藤 靜|差別としてのヘイトメッセージ──〈傷つき〉の経験をめぐって
[第9章]伍 嘉誠|宗教と信仰の多様性
[第10章]アブドゥルラッハマン・ギュルベヤズ|言語とコミュニケーションについて
葉柳和則|あとがき
執筆者略歴
アブドゥルラッハマン・ギュルベヤズ(Abdurrahman Gülbeyaz)
長崎大学多文化社会学部准教授。博士(人間科学)。記号論、言語学、社会学、哲学。主な著書に『Meaning in Language and Music: Sign and Slaughter』(松本工房、2016年)、『しっかり学ぶトルコ語』(ベレ出版、2016年)、『頻出度順トルコ語基本1000語』(大学書林、2011年)、『社会的葛藤と言語行為』(松本工房、2015年)(編著)、『国際学入門 言語・文化・地域から考える』(法律文化社、2015年)(共著)、『音楽におけるリズムとトルコ音楽のリズム概論』(佛教大学宗教文化ミュージアム、2007年)(共著)。
伍 嘉誠(ご・かせい)
北海道大学大学院文学研究院准教授。文化・宗教社会学、社会運動論について研究。主な研究業績に「香港の基督教と雨傘運動」(櫻井義秀編『中国・台湾・香港の現代宗教──政教関係と宗教政策』(明石書店、2020年)、「香港における新型コロナについての一考察──市民社会の力」(玄武岩・藤野陽平編『ポストコロナ時代の東アジア』(勉誠書店、2020年)、「Rethinking the Political Participation of Hong Kong Christians」 in『 Social Transformations in Chinese Societies. Vol. 13. 2017 』(Emerald Literati Awards 2018 Highly Commended Paper)。
佐藤 靜(さとう・さやか)
大阪樟蔭女子大学学芸学部准教授。専門は倫理学・現代民衆思想。主な研究業績に「新潟水俣病事件における妊娠規制の問題:優生思想とフェミニスト倫理学の観点からの検討」(日本医学哲学・倫理学会編『医学哲学医学倫理』第38号、11–19頁、2020年)、「ケアワークと性差別 : 性別役割分業・人種間分業・グローバリゼーション」(『唯物論研究年誌』第22号、59–83頁、2017年)、「ケアする責務と応答責任:プラグマティックな当為の位置づけをめぐって」(日本倫理学会編『倫理学年報』第64集、203–210頁、2015年)
滝澤克彦(たきざわ・かつひこ)
長崎大学多文化社会学部教授・多文化社会学研究科教授。博士(文学)。宗教社会学、モンゴル研究。主な著書に『越境する宗教 モンゴルの福音派──ポスト社会主義モンゴルにおける宗教復興と福音派キリスト教の台頭』(新泉社、2015年)、編著・共編著に『ノマド化する宗教、浮遊する共同性──現代東北アジアにおける「救い」の位相』(東北大学東北アジア研究センター、2011年)、『無形民俗文化財が被災するということ──東日本大震災と宮城県沿岸部地域社会の民俗誌』(新泉社、2014年)。
寺田 晋(てらだ・くにゆき)
長崎大学多文化社会学部非常勤講師。ハイデルベルク大学哲学部東アジア研究科博士課程修了。哲学博士。専門は国際移動の社会学・シティズンシップ・多文化主義。著書に『Actors of International Cooperation in Prewar Japan 』(Nomos)、『Geschichtsdenken im modernen Japan』(分担執筆、iudicium Verlag)、主な論文に「シヴィリティと社会の分断」。
葉柳和則(はやなぎ・かずのり)
長崎大学多文化社会学部教授。スイス文化史・演劇論・文化表象論・都市イメージ論。主な著書に『経験はいかにして表現へともたらされるのか──M・フリッシュの「順列の美学」』(鳥影社、2008年)、『ナチスと闘った劇場──精神的国土防衛とチューリヒ劇場の「伝説」』(春風社、2021年)(編著)、『長崎──記憶の風景とその表象』(晃洋書房、2017年)(編著)、主な論文に「テクストとしての〈文化教書〉(1938)──ナチス時代のスイスにおける〈精神的国土防衛〉運動の理路」(『インターカルチュラル』第16号、日本国際文化学会、2018年)、主な翻訳に『デュレンマット戯曲集』第1巻・第2巻(鳥影社、2012年・2015年)(共訳)。
森川裕二(もりかわ・ゆうじ)
長崎大学多文化社会学部教授。国際政治学、東アジア国際関係、平和学。主な著書に『東アジア地域形成の新たな政治力学 リージョナリズムの空間論的析』(国際書院、2012年)、『周縁からの平和学』(昭和堂、2019年)(編著)、『The New International Relations of Sub-Regionalism: Asia and Europe』(Routledge, 2018)(共著)。
森 啓輔(もり・けいすけ)
琉球大学島嶼地域科学研究所研究員。社会学、統治性研究、地域研究。統治と統治されるものの関係性について、安全保障行政と社会運動に注目して研究。主な著書に『Connections Result in a General Upsurge of Protest: Egocentric Network Analysis of Social Movement Organizations after the Fukushima Nuclear Accident』(Social Movement Studies, 2020)(共著)、「 Domestic Environmental Policy and Status of Forces Agreement: U.S. Military Presence and New Water Pollution Risk in Germany」in『 Exploring Base Politics: How Host Countries Shape the Network of U.S. Overseas Bases』(Routledge, 2021)、「米施政権下における北部訓練場の軍事的土地利用はいかになされたか」(『沖縄文化研究』、2018年)。
森 元斎(もり・もとなお)
長崎大学多文化社会学部准教授。博士(人間科学)。哲学・思想史。主な著書に『具体性の哲学』(以文社、2015年)、『アナキズム入門』(筑摩書房、2017年)、『国道3号線』(共和国、2020年)、『VOL エピステモロジー』(以文社、2011年)(共編著)、共訳書に『ギリシア デフォルト宣言』(河出書房新社、2015年)、『思弁的実在論入門』(人文書院、2020年)。