a+a美学研究|第16号
¥1,650
なら 手数料無料の 翌月払いでOK
大阪大学大学院人文学研究科美学研究室 編集
A5判/148×210mm/170頁
並製/無線綴じ/箔押し/表紙マットPP/2025年
ED:高安啓介 AD+D+DTP:松本久木
ISBN 978-4-910067-29-2
─
『a+a美学研究』は、美学の知をより多くの方々と共有できることを目指しています。新しい研究を紹介する学術雑誌としての機能を保ちながら、美学への理解を深めたい学生にとっても、芸術に興味のある読者にとっても、知の道標となるような特集をこれから組んでいきます。この雑誌の編集にあたっては、コミュニケーションの様態への関心から、知の内容だけでなく知の形式についても反省をめぐらし、見出された知見がいかに社会のうちに浸透していくのか、重要と思われる事柄がいかに社会のうちに共有されるのか、美学の思考をそこまで駆り立ててみたいと思います。
─
特集:生きることの美学
哲学の一分野である美学は、今日ますます考察の対象を広げつつあります。芸術作品といった特別な対象だけではなく、日常生活のありかたにも目が向けられるようになりました。人々の暮らしの営みそれ自体に、美しさやそれに類する価値を見出そうという議論もありえます。
美とは、ものそれ自体の魅力のことだとするならば、自分の生も、他人の生も、目的にたいする手段ではなく、それ自体かけがえのない価値を持ちうるという認識こそが、生の充実をもたらすのであり、生きることの美学はその可能性について議論するものだと考えます。
一般に、生きることの美学というと、自分らしい生きかたが話題になりそうですが、本号の多くの論考は、ナルシスト美学から解放してくれる視点をあたえてくれます。すなわち、他者との交わりのなかで生の意味が見出され、自分の生きかたも変わりうるという視点です。(「はじめに」より)
[内容]
◎はじめに
高安啓介
(大阪大学大学院人文学研究科教授。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門はデザイン思想史。)
◎「生命の貧困化」の克服としての芸術──ニーチェとシアトロクラシー
田中 均
(大阪大学大学院人文学研究科教授。専門は、ドイツ語圏を中心とする近代美学、芸術における「参加」をめぐる諸問題。)
◎労働の喜びの表現としての芸術──モリスから現代まで
高安啓介
◎わたしを束ねないで──大阪・釜ヶ崎で喫茶店のフリからはじめた詩なのよ
上田假奈代
(詩人。NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)代表理事。堺アーツカウンシル プログラム・ディレクター。)
◎災害後に家を建てる──奥能登とさわひらきの芸術
秋庭史典
(京都大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、名古屋大学大学院情報学研究科教授。専門は美学。)
◎居場所化する障害者の美術
服部 正
(甲南大学文学部教授。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。兵庫県立美術館、横尾忠則現代美術館学芸員を経て現職。)
◎流れる「今」をあじわう──アートプロジェクトによる日常経験の変容
山下晃平
(京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程修了。博士(美術)。現在、神戸学院大学人文学部講師。専門は、近現代の芸術論、表象文化論、日常美学。)
◎労働者がカメラをもつとき──メドヴェトキン集団の映画制作
大城奈都
(大阪大学大学院人文学研究科博士前期課程。専門は映画研究。)
◎ミュージアムにおける視覚偏重主義を超えて、インクルーシブのその先へ
岩﨑陽子
(大阪大学文学研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、嵯峨美術短期大学教授、オルファクトリーフレイル学会副代表理事、Perfume Art Project代表。専門はフランス美学・哲学。)
◎大地の芸術祭における地域史と環境への眼差し──磯辺行久の作品事例から
八幡さくら
(神戸大学大学院人文学研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、一橋大学大学院言語社会研究科講師。専門は、シェリング芸術哲学を中心としたドイツ観念論、ドイツ・ロマン主義。)





















